投稿者:岸本 隆三

 講談師で日本講談協会会長の神田紅氏の特別講演が19日夜、福岡市中央区大宮1の福岡ペン倶楽部サロン「自由闊達」で開かれた。同市内の公演で帰福した機会にお願いした。会員ら約20人を前に「こんな少人数ではしゃべったことがない(笑)」と、始まりは聴衆の自己紹介から。出身の福岡修猷館高校の先輩、後輩も混じり、ローカルな話題のやり取りで盛り上がり、講談業界の話から。
 神田氏は現在日本講談協会会長を2016年から務めているが、31年前、彼女の師匠の二代目神田山陽が講談協会の会長選でのもつれから出て結成した。「こちらは23人しかいない(講談協会より少ない)が、こちらには売れっ子の(六代目神田)伯山も人間国宝(神田松鯉)もいる」など紹介。2つ団体があることは「落語も2団体あり、いいこともある。(団体を)出て行かなかなければならない時でも受け皿になる。しかし微妙に違いがある」と言い、講談協会は女性講談師には結婚を勧めるが、日本講談協会は「どうせやるなら集中してやりなさい。結婚しなくてもいい」と説明し「私の婚期も遅れた(笑)」。
 「(両団体)70人の中で女性は34人。容姿のいい、高学歴の女性がドンドン入ってきている。(講談界において)女性の力はすごいんですよ。今、伯山が人気だけれど、ある時期(講談界を)女性が支えていなかったら今の伯山はない」と女性の貢献を強調。しかし「女性講談師は認められていない。記者もなかなか書いてくれないし評論家も取り上げない。評論家は全部男性です。このままでは女性講談師の人間国宝は出ない。女性の評論家を育てないといけないかもしれない」などなど。
 「今日は(聴衆の)反応がいい」と話は時間をオーバーしてパワハラ、セクハラ時代の弟子の育て方や自身の結婚生活まで及び、張り扇を叩いて「お富与三郎」のさわりも披露した。なお6月26日午後2時からEテレビで創作講談「柳原白蓮」が放送されるとの予告もあった。
 この後の簡単なビールパーティーに参加、福岡のことや高校時代のことなどに話題は尽きなかった。

 福岡紅塾 講談まつり

 神田氏は言わずと知れた福岡市出身で早良区には実家も残る。福岡市民文化活動功労賞も受賞している。約20年前から福岡紅塾を開いて、毎月帰省して高校生から後期高齢者まで約50人を熱血指導している。塾生が稽古の成果を披露するお祭り「第11回福岡紅塾 講談まつり」が6月18日午前10時半から同市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル8階、福岡アジア美術館あじびホールで開かれる。
 コロナ禍で中断、開催は2年半ぶり。27人の老若男女が3度の「仲入り」(休憩)を挟み、午後5時まで「南部坂雪の別れ」「お富与三郎」「四谷怪談・発端」などを披露する。入場無料。予約不要だが、定員になったら入場を断り、「仲入り」以外での途中入場はできない。