投稿者:古賀 晄
令和6年の元日早々、石川県能登半島で最大震度7の地震が起きた。翌2日は羽田空港で日本航空機と海上保安庁の双発機が衝突炎上する大事故。屠蘇気分が吹っ飛んだ。
能登半島地震の死者は1月17日現在で220人を超えた。災害関連死も増えるだろう。被災地の窮状を伝えるテレビや新聞を見て心を痛めている人々は少なくないはずだ。
近隣諸国は敏感に反応して1月11日時点で台湾は11億円、韓国は4億円の義援金を日本に送ったとニュースで報じていた。大半が国民からの寄付だそうだ。国内では日本赤十字社やメディア各社、自治体が義援金を募っているが義援金額はまだ不明だ。
NPO法人日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2021」によると、日本国内の2020年の個人寄付総額は1兆2126億円(2009年は5455億円)と2倍超に増えている。きっかけは2011年の東日本大震災だとしている。ただ、この伸び率は返礼品がある「ふるさと納税」の増加が大きいという。内閣府が実施した直近の「社会意識に対する世論調査」は国民の60%以上が「何らかの形で社会貢献したい」と回答しているものの、実際に寄付をしたことがあるのは40%に過ぎない。
「日本人は互助精神がある」と思っていたが、国際慈善団体Charities Aid Foundation(本部・イギリス)が2022年に発表した「世界人助け指数」によると、日本は118位、世界ワースト2位だという。「寄付やボランティア活動をしたか」「見知らぬ人を助けたか」などの質問に対する回答を国別に集計した結果だが、「日本には寄付やボランティア文化が浸透していない」と断じている。これでは他者の悲劇に対して日本人は野次馬か傍観者にしかみえないではないか。寄付は銀行窓口に足を運ばなくても、○○payでポチっとやるだけでコード決済できる時代なのに。
「では、おまえは何をしたのか」と天の声に問われれば、胸を張れるわけではない。東日本震災後、7年間、原稿料を貯めては放射能の海洋計測チームに参加した。熊本地震では、福岡市の支援物資集積場で物資の仕分け作業に夫婦で3日間通った。災害医療取材が縁で被災地での災害廃棄物処分のボランティアに数日通い、九州北部豪雨災害では朝倉市で被災者支援チームに参加した程度だ。いずれの被災地でも韓国、台湾、豪州など世界各国から大勢のボランティアが被災地支援に駆け付けているのを目の当たりにした。朝倉市で民家の復旧に活躍した香港の体育教師とは現在もFacebookでつながっている。
被災地救援で出会った海外からのボランティア参加者は「困っている人々がいれば、どこへでも、いつでも駆け付ける」という奉仕精神を当たり前のように持っていて行動も早い。「すべての日本人もこうであったらいいな」と思いつつ、今回は「せめて貧者の一灯」を寄付した。80歳の筆者はもう被災地で働く体力はなく、「自分は傍観者ではない」との言い訳じみた意思表示に過ぎないかな?(1月17日)