投稿者:岸本 隆三

 今年の春節、旧正月元日は17日だ。例年より少し遅い感じだ。いわれのない治安悪化などを理由に、中国政府が繰り返す日本への渡航自粛の呼びかけで、春節休暇に中国からの訪日客が激減すると注目を集めている。一方で、日本は官民とも冷静に対応しているように見えて、日本も変わったと思う。
 春節を祝うのは中国や台湾、香港、ベトナム、韓国など。中国文化圏の国や地域。日本も中国文化圏だと思うが、旧正月はなくなった。ただ、華僑が暮らす各地の中華街に残っている。
 「長崎ランタンフェスティバル」が長崎市で6日から始まった。今年で31回を数えるという。同市新地の中華街の旧正月の催しを全市に広げたお祭りだ。同フェスティバルが始まる前、7年弱の間、読売新聞長崎支局に勤務し、新地中華街の旧正月を取材したことがある。爆竹の記憶が残っている。同フェスティバルはテレビニュースでしか知らないが、中国人観光客が減るならば、西九州新幹線で1泊旅行もいいかなと思っている。
 実は出身の大分県の離島では昭和41年(1966年)まで旧正月だった。私が中学3年生のころまでだ。正月行事の年始回りなどは旧暦で行い、新暦の正月は新正月と言っていたが、祝いごとはしていなかった。旧正月でも村役場や小、中学校は休みだった。お盆も旧暦(月遅れではない)で行い、満月が見られた。もちろん正月に月はない。中国や韓国と特に近いから旧正月だった訳ではなく、島の主産業が漁業のため、戦後まで残ったようだ。漁業、特に沿岸漁業は潮汐が大事で、干満は月で、旧暦で見るためだ。今では、島でも旧正月は話題にならないが、春節の記事を読むと思い出す。
 中国人観光客は韓国に向かうと言われている。中韓関係は2016年に決まった米国による在韓米軍基地への「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」ミサイルの配備などをきっかけに冷え込んでいた。韓国は今回の訪日自粛のように訪韓自粛をされ、打撃を受けた経験があるのだ。李在明韓国大統領の今年初めの訪中で、改善されたからのようだ。それはそれで韓国のために喜ぶべきことだろう。
 日本政府観光局が発表した25年の国・地域別の訪日外国人客数は韓国が約946万人でトップ、中国が約910万人で2位、3位は台湾の約676万人、次いで米国の約331万人。今年、中国は減るだろうが、韓国、台湾などをより大事にして、多国化を図るべきではないかと考える。もうやっていると思うが。
 中国の手のひら返しのように日本を貶め、他国にサービスする外交には唖然とする。中国に大人(たいじん)の風格はない。むしろ日本のやせ我慢にそれを感じる。パンダ返還も同様だ。
 1月に東京・上野動物園の双子のパンダ2頭が中国に返還された。これで1972年の日中国交正常化に伴ってパンダが来てから初めて国内に1頭もいなくなった。東京都は新たなパンダ貸与を求めているというが、なかなか難しそうだ。そうしたところにすでにパンダのいる韓国にさらにパンダ貸与の話が進んでいるという。
 パンダ人気にはすごいものがあるが、だからといって都や政府への非難の声は聞こえてこない。やはり日本は変わったと思う。
 話は変わるが、昨年9月8日の読売新聞のコラム「異国ログ」に大月美佳記者が「パンダ、要らない?」の原稿では「ブラジル政府は、中国側からの貸与の申し出があったにもかかわらず、(パンダの)受け入れを見送った」という。餌代などの費用に年間100万㌦(1億5000万円)が必要で、ブラジル側が難色を示したといい、国民も「パンダがかわいそう」「貧しい人たちにお金は使うべきだ」などと受け入れ反対の声が圧倒的だという。世界はやっぱり広い(笑)。
 パンダがどうしても見たい人は中国へというわけにもいかないだろうから韓国、台湾、香港、シンガポールなどそれこそ春節を祝う近くの国にはいるので、そちらに行かれたらどうだろうか。韓国はそのうち新しいのも来るようだし、九州の人にとっては東京より近く、インバウンドのお返しでもいいのではないかな、と考えたりしている。(2月13日)