投稿者:岸本 隆三
寒波が襲っていた8日、第51回衆院選は投開票された。このところネット配信の映画にはまっているが、「きょうは選挙だろう」と午後8時直前から始まったテレビの開票速報を見た。NHKを中心に民放各局にもチャンネルを回して。少しウトウトはしたもののほぼ徹夜になってしまった。
当初、まだ1票もないのに自民は勝っていた。これにはもう慣れた。出口調査の賜物で精度も上がっているのか、当落の打ち間違いはあまり聞かれなくなった。そして自民の圧勝、大勝。こういう時に地滑り的というのか。読売新聞9日付け朝刊はまだ310議席の段階で「歴史的大勝」だった。
朝方465議席が決まった時は自民316議席。自民結党以来の議席数であり、安定多数どころか、三分の二の310議席も超えた。なんと比例選の擁立数が足りず、14議席を他党に譲ったという。擁立していれば実に330議席だった訳だ。これだと占有率が実に7割。これはもう民主国の選挙ではなく権威主義国のそれのようだ。
衆院選は小選挙区比例代表並立制だ。自民の金権選挙などが批判され、二大政党による政権交代が起きやすいなどとして選挙制度改革が行われ、1996年(平成8年)の第41回衆院選から導入された。この時、読売新聞の西部本社管内(九州、山口、沖縄)の選挙デスクを務め、思い出深い選挙だ。
この原稿を書き始めて気付いたが、今年が、ちょうど30年なのだ。阪神大震災、地下鉄サリン事件の翌年だ。当時、同制度は中選挙区選とは違い、票数以上に偏って議席が動く弊害があり、もっともそれだけに政権交代が起きやすいと言われていた。過去にも議席が大きく動き、政権交代もあったが、公示前勢力がそれも1年3か月前の選挙で過半数に届かない(公示前で198議席)のに、これほど一挙に議席を増やすのだと弊害(弊害ではないかもしれないが)を思い出した。
本筋の原稿は新聞を読んでいると思うので、思いつくままに書いている。
立憲民主党の幹部や主だったところが軒並み、比例での復活もせずに落ちた。本当に選挙は恐ろしい。今の選挙制度が恐ろしいのか。いや選挙は昔から恐ろしいのだ。幹部らは敗戦の弁を語るが、うつろだ。昨日までの勢いはどうした。そして小沢一郎氏が比例復活もなく、とうとう落選した。当選20回にはならなかった。前々回、選挙区選挙で落ちたこともあったが、比例で復活していた。
小沢氏と言えば、それこそ自民党を出て新選挙制度導入の中心人物となり、新党を作ったりつぶしたりしながら政局の中心に、また政局となると名前が出ていた。ウトウトしていた時にテレビに出たのかな。敗戦の弁は聞いていない。聞きたい。
中道改革連合の共同代表だから仕方がないが、野田共同代表は進退を何度も聞かれ、党の役員会の前には「辞める」と言えないため、「腹を決めている」と同じことを言っているのに、記者はまた念を押す。記者が違うのか、媒体が違うから何度も言わせないといけないのだろうが。質問する記者もいやなのだが。野田氏はとうとう絞り出すように「万死に値する」とまで言っていた。実際そうなのだが、聞きたくなかった。
多くの裏金議員が復活した。まるで裏金事件などなかったかのようだ。立憲民主と公明が一緒になって中道改革連合を作ったことへの裏返しのように見える。安保法制や原発で公明に歩み寄った立憲民主だが、政治と金のことは無理なく一致したのではないか。これがものの見事に跳ね返されたように見える。高市氏がいくら旧安倍派系統に近くてもだ。
SNSから遠いので、SNS選挙のことはよく分からない。いやな言葉だが、オールドメディアの世界の住人だ。今回、新聞の世論調査はよく当たった。かつては携わってきたのに、こういうことを言うのは変なのだが。朝日新聞のものは自民300議席を超える勢い(読んでいないのでテレビなど間接情報で)だったという。朝日の世論調査は自民に辛く出るとかつて聞いていたから、本当かなと思った。冗談に「自民に勝たせないための朝日の陰謀かな(笑)」と酒席で言ったりもした。アナウンス効果もあるだろうから300議席などとてもと考えていた。結果が出て、今はかつてとは逆のアナウンス効果が出るのか、アナウンス効果そのものがないのか、さらに考えたくないが、オールドメヂィアは読まれていないのか。
原稿を書こうとパソコンを開くと「ウォールストリートジャーナル」の社説がネットニュースにあり、中国政府は台湾有事を巡る高市首相の昨年11月の国会答弁に対し、輸出規制や渡航自粛で日本を威圧していきたが、逆効果で裏目に出たとの内容。これには同感した。少なくとも自民大勝利の一因であることは間違いない。異常気象のことも書こうと思ったが、長くなったので別に改めたい。(2月9日)
