投稿者:岸本 隆三

 福岡市の室見川左岸を河口からママチャリで上流に走った。最下流に架かり、すぐ側の上は都市高速の高架がある愛宕大橋横、さらに明治通りの愛宕橋横を通ると河川敷に下りることができ、下りる。少し走ると旧筑肥線跡に架かる室見川筑肥橋。ほぼここから遊歩道の距離標示が始まり100㍍ごとに標示板が現れる。
 その200㍍手前の土手に1本、さらに200㍍進むとまた1本、さらに700㍍の標示版のところにもう1本、いずれも大きなセンダンの木が満開だ。花がすでに大分散っており散り始めかもしれない。一番大きい3本目のところにはベンチがあり自転車を止めて休憩。けっこう強い匂いを吸い込み屈伸運動をしながら鳥の声を聞く。風が吹くと花びらや花柄がバラバラと降って来る。
 ママチャリ散歩コース選択に満足しながらさらに上流を目指す。遊歩道が途切れて堤防上の車道に上がることもなく、国道202号線小田部大橋、都市高速高架下の外環室見橋を潜って3100㍍の標示板手前にセンダンの大木が1本、3500㍍までの土手側に3本あり、その先の河川敷川側には中小16,7本の並木が約200㍍続く。
 さらに3800㍍に1本、3900㍍を過ぎて3本の大木。いずれも満開。地下鉄橋本車両基地そばの河川敷公園で、サクラが多く植栽され少し知られつつあるもののセンダンはどうかな。近くには地下鉄七隈線の終点・橋本駅がある。約1㌔㍍の間にセンダンの大木8本と中小木約20本(私が数えた)あり、この一帯を「センダン河川敷公園」としたらどうかと思う。将来、間違っても河川改修などで伐採されないためにも注目して欲しい。
 翌20日、ちょっとした集まりが熊本市であり車で出かけた。同行のパートナーが、台湾積体電路製造(TSMC)が進出した菊陽町を見てみたいというので、九州自動車道熊本インターを降りて同町に。豊後街道の旧国道57号線経由で「菊陽町は(普通交付税の)『不交付団体』になった。新しい家が建っているなー」と話しながら開発が進む丘に。TSMC第1工場の横には第2工場の建設が進み、前のトウモロコシ畑は駐車場がひろがり、さきに進むと広い農地が整地され、ソニーグループの工場は建屋ができていた。
 昨日の今日ではないが、丘を取り囲む森や旧国道57号線沿いに紫の花を付けたセンダンを何本も見つけた。気になって仕方がないのだ。剣豪・宮本武蔵の遺体を埋葬した街道沿いの「武蔵塚公園」(熊本市北区)を訪れ、クスノキの巨木を触っていると下った先の平地に何と花を付けた5本のセンダンが風に揺れている。もちろん2人で花と匂いのシャワーを浴びた。いや公園に寄って良かった。
 お城近くのホテルに1泊。21日午前6時。熊本日日新聞の1面トップ「首相、農相更迭へ」の見出しだけ見て、雨の中を熊本城に。前から国指定天然記念物で樹齢400年―1000年のクスノキの巨木7本が林立している「藤崎台クスノキ群」の若葉の頃を見て見たかったのだ。
 熊本県の県木はクスノキ。とにかくクスノキが多い、それも巨木が。熊本城跡は特にだ。ホテルから坪井川沿いを進み、南大手門から第一高校前を通り、県護国神社に参拝。この間にも集められた多くの石垣の石と雨に濡れるたくさんのクスノキを見る。藤崎台県営球場正面には球場2階入口前の床面に穴を開けて保存しているクスノキの巨木がそびえている。
 目的地は中堅後方だ。
 球場の周囲を一塁側から中堅に向かってすすむ。巨木が見えたと思ったらプラスチックの柵があり、「立入禁止」の看板と球場名で「クスノキの枝が落下する可能性がありますので立ち入りをお控えください」の説明文。何なんだと少し怒りを覚える。
 そして思い当たった。国土交通省が昨年9月に東京都日野市の緑地内歩道でイチョウの枝が落下、下敷きになった男性が死亡した事故があり、公園、道路を管理する自治体などを通じて、調査した。その結果、倒木や枝の落下での被害が2021年4月―24年11月に1732件あり、死亡したのは日野市の1件だったが、109件の負傷事故があった(読売新聞4月30日夕刊)という。それを受けたものだろう。
 「お控えください」だし、自己責任でとすき間から入った。反対側の左翼側に碑などがありこちらが本当の入り口なのだろうが、こちらには柵も立入禁止の看板はなかった。
 いつ来ても巨木の林立には感動し、思わずさすってしまうのだが、若葉には少し時間が経ち過ぎていると思った。残念。しかしまた次の機会を待ちたい。
 そばの駐車場は数日後に控えたソフトバンクホークス公式戦のためのテントが張られていた。テレビ中継があれば、中堅スタンドに伸びたクスノキの大きな枝がまた映るなー。
駐車場を囲む木々の中に5本のセンダンを見つけた。(5月22日)

地下鉄橋本車両基地近くの室見川遊歩道の満開のセンダン(5月19日撮影)