投稿者:岸本 隆三

 自民党、立憲民主党など与野党は、違法なオンラインカジノの対策としてオンラインカジノサイトの開設やサイトへの広告掲載、SNSなどでのサイトへの誘導行為を禁止し、政府や地方自治体がオンラインカジノは違法だと広報、啓発することで合意、今国会にギャンブル等依存症対策基本法改正案を提案するという(読売新聞など)。問題が浮上して警察庁が実態調査に乗り出した昨年夏ごろから、対策として検討されたサイトへの接続を強制的に遮断するブロッキングは憲法などが定める「通信の秘密」に抵触するとして見送られた。
 改正案が成立してもこれだけ広がり、肥大化してしまったオンラインカジノをつぶすのは難しい。表面に出ているのが潜伏化するだけではないのか。それは改正案をまとめた議員も思っているだろう。ここはデジタル社会の進展に合わせたギャンブル規制として早急にカジノ業界を育て、オンラインカジノ解禁を検討してみてもいいのではないか。
 ギャンブルは好きだが、カジノは海外旅行のついでにマカオとシンガポールでのぞいたことがあるぐらいで、あまり興味はない。オンラインでのカジノはデジタル社会に乗り遅れているうえに、インターネットでの決済に不安、恐れがありしたことはない。慣れていないのだ。
 ボートレース(競艇)などの公営ギャンブルは退職前の6年間、スポーツ新聞に在籍していたこともあり、仕事を兼ねてか、仕事を絡めてか、よく通った。根はもちろん好きなのだ。しかし退職後、時間はあるものの年金生活となって遊ぶ資金が減って段々足が遠のいた。さらにコロナ禍での外出自粛が続き、ほとんどやらなくなった。
 ところが中央競馬も公営ギャンブルもオンラインカジノもこのコロナ禍で様相を変えた。コロナ禍前の2019年より売上を伸ばしているのだ。
 中央競馬は2019年に2兆8817億円だったのがコロナ禍のど真ん中の2021年は3兆911億円と3兆円超え。その後も毎年売上を伸ばしている。全国の競馬場入場者は2019年の615万人が2021年には72万人に激減したのにだ。
 競輪の売上は2019年の6604億円が2022年は1兆900億円と20年ぶりに1兆円台を回復した。競輪場は全国で4場減ってのカムバックだ。モーターボートは2019年度1兆5434億円が2020年度には2兆円を超え、2021年度は2兆3926億円。その後も伸びており2024年度は実に2兆5227億円と5年前から1兆円近く伸ばした。
 いずれもネット投票が増えたためだ。競輪ではコロナ禍前から夜間の無観客開催があり、中央競馬もコロナ禍の時には無観客で開催していた。内閣官房調査ですでに2020年度で売り上げに占めるネット投票の割合は中央競馬92・7%、競艇77・1%、競輪70・9%となっており、現在はもっと進んでいると推測される。
 違法なオンラインカジノも同じことがいえ、コロナ禍で急速に伸ばしたようだ。スマホでどこでもできるうえに24時間、いつでもできるのだ。ギャンブル相談や依存症治療相談も増え、全国の警察が2024年、オンラインカジノで賭博罪などで摘発したのは279人で過去最多となっている。
 警察庁が昨年7月以降行った調査では推計で、経験者は約337万人、現在の利用者は197万人。賭け金総額は1兆2423億円。あれだけ設備と人員をかけている競輪を上回っている。
 これが違法で賭け金の多くが海外に流れているのだ。
 大阪市の人口島・夢洲では2030年秋の開業を目指してカジノを中核とする統合型リゾート(IR)計画が進んでいる。旅行客は戻っているが、カジノを巡る環境は大きく変動している。計画通りカジノを中核とするものができるのか、どうか分からない。これまで、少なくともIRではカジノを賭博罪の適用除外まで漕ぎつけている。ここはその流れにのって除外を大きく広げてオンラインカジノまで含めた新たなカジノ業界を立ち上げたらどうだろう。暴力団、依存症対策はもちろん、ギャンブル教育も含めてだ。(5月19日)