投稿者:岸本 隆三

 暦は進むのに季節はなかなか進まない。
 11月だというのに高温と大雨はどうしたのか。晩秋だというのに、まるで梅雨か初夏を思わせる天気であり、雨の降りかただ。
 11月1日から4日まで、「博多旧市街ライトアップウォーク2024千年煌夜」が福岡市博多区の櫛田神社や承天寺などで開かれた。福岡ペン倶楽部の森山・理事兼事務局長のはからいで、会員は先着50人に入場券が無料で頂けるというので、1日夜にジャズライブが開かれていた同神社に出かけた。雨は夜には土砂降りになり、入場券をいただいて早々に引き揚げた。
 雨は台風21号の接近によるもので、温帯低気圧に変わった2日も続き、長崎県北部には線状降水帯が発生。「記録的短時間大雨情報」も出された。同日午前9時までの24時間雨量は同県松浦市で377・5㍉を記録した。
 福岡市も雷を伴った雨が降り、3日になってやっと晴れた。入場券がもったいなく3人で櫛田神社に出かけ、ジャズを聴き、日本酒を飲んだ。膝は痛いがウオーキングで承天寺なども訪れ、日頃は見ることができない、それも青色にライトアップされた石庭に感動した。訪日客も含め多くの人でにぎわっており、主催者や関係者ならずとも前2日の大雨がうらめしかったと思う。企画自体が雨の少ない晴天のそれも快晴の多いこの時季を選んでおり、それが台風に大雨だからどうなっているのか、やっぱり異常気象だと思う。
 1894年の観測開始以来、最も遅い11月7日に、富士山が初冠雪したころ、少し気温が下がり、遅い衣替えをした。さらに欠礼はがきも舞い込み、季節が暦に追いつき始めたと思ったが、また大雨。
 今度は鹿児島県奄美地方と沖縄本島北部。9日未明から10日にかけて猛烈な雨に襲われ、気象庁は11月としては初めて鹿児島県与論町(与論島)に「大雨特別警報」を発令した。9日の24時間降水量の最大値(午後6時時点)は、与論町で594㍉、沖縄県東村で486・5㍉といずれも観測史上最大となった。雨量の観測史上最大値もすごいが、それが11月中旬になろうかというのが異常だ。
 11日の読売新聞「空を見上げて・番外編」では、立花義裕三重大教授に話を聞いている。その中で、立花教授は温暖化の原因に偏西風の蛇行と海面水温の上昇をあげ、「日本の季節は『四季』から『二季』へ変わりつつある」と言っている。確かにそうなのだ。衣替えは年々遅くなり、間服(あいふく)は着る時を失っている。我が家には夏のジャケッットが「いつクリーニングに出したものか」とまだぶら下がっている。
 季節が暦に合わないのではなく季節がなくなっているのだ。将来、四季は暦と俳句の季語にしか残らないのかもしれない。(11月11日)