投稿者:古賀 晄
この瞬間も「生理」をテーマに書くのを躊躇しつつ「長い間、タブー視されてきたことに男が向き合わねば、男女共同参画社会は進まないのでは」と考えるようになった。
きっかけは、たまたま観たNHKスペシャル ジェンダーサイエンス⑵「月経 苦しみとタブーの真実」(2021年11月6日夜)だ。NHKは生理をテーマにドキュメンタリーやドラマなどさまざまな番組を制作しており、タブーに迫る果敢な挑戦だと思った。
この放送はシリーズ第2集のドキュメンタリーだった。番組紹介Web版によれば、最新の研究結果から月経は人類が進化して来た証しとの新たな発見や企業の取り組みなどを紹介して「誰もが生きやすい社会の実現のためタブーを越えて考える」内容である。
NHKのWebサイト「#生理の話ってしにくい」には、取材に関わった男性カメラマンらスタッフの率直な戸惑いや体験がつづられている。
「生理のことを知らなければ、実際に苦しんでいる人を気遣うことはできない。男性が理解してくれると感じてもらえる環境が必要であり、男性側が学ばねばいけない」と語る取材者のコメントに共感を覚えた。
わが身を顧みれば、「生理は不浄」とはさすがに思わなかったが、「出産は妻の仕事」だと割り切っていた。2人の娘が産まれた夜はいずれも当直勤務だった。流産した妻の涙を見た時もどんな言葉をかけてやるべきかわからなかった。娘が成長すると、しょっちゅう誰かが不機嫌で体調不良だった。単身赴任した時は「不機嫌な環境」から解放されてホッとしたのも事実だ。女性の心理も生理も気に留めないダメな夫、父親だった。
読売新聞西部本社に女性記者第1号が入社したのは、圧倒的に男社会の時代だったから福岡総局(当時)の泊まり勤務をめぐってひと騒動起きた。女性記者に泊まりをさせるのか、同じ仮眠室でいいのかと議論沸騰、「男はパンツ姿で職場をうろつくな」とのお触れも出た。応接室が女性専用仮眠室に改造されたのを機に騒ぎは収まったが・・・。
鹿児島読売テレビ報道制作局次長に55歳で出向したが、開局6年目のテレビ局は雰囲気が新聞社とまったく異なった。スタッフは男女ほぼ半々、ピチピチと若さに輝いていた。
仕事がうまくいくと、「イエーイ!」と歓声を上げて男女を問わずハグする。意見が対立すれば男女が遠慮なく言い合いをする(大抵、女性が勝った)。
離島が多い鹿児島県では航空取材が日常的だった。天候や距離、機材と人員の重量が燃料積載量に関係するので搭乗させる人選が難しい。ある時、長距離のヘリ取材が必要になった。
「レポート力があり軽量級の女性アナがいい」と判断して報道フロアに叫んだ。
「〇〇(女性アナの名前)、ヘリで飛んでくれ」
「NGで~す。私、生理中なんで~」。
大声の主はあっけらかんとして、他のスタッフも平然と仕事をこなしていた。しばし絶句したのはガラパゴス化した私だけだった。(11月24日)