投稿者:古賀 晄
旧陸軍大刀洗飛行場跡の開拓地で過ごした幼少期から少年時代の記憶をアニメ化しようと思い立った。下絵を描き生成AIに「ジブリ風に」とか「漫画風に」と指定すると、ほぼ思い通りのひとコマが2,3分で出来上がるからとても便利だ。
だが、予想もしなかったことが起きて困った。次の自作の絵をみていただきたい。

小学校での相撲大会で自分より大柄で力自慢の同級生に私が勝った場面だ。実は泣き虫でケンカや相撲はからきし弱かった。村の子はみんな晒の締め込みをしていたが、サツマイモがやっと収穫できる頃の開拓民の家庭はみんな貧しく、私は晒を買って貰えなかった。ぐずぐず泣いていると、母方の祖母が箪笥の奥から取り出した金襴緞子の帯を締めてくれた。裕福だった頃の祖母が「いよいよ生活に困ったらこれを売りなさい」と母に持たせた高価な帯だった。「これでアンタは横綱タイ」とおだてられ、勇気が湧き出て、相撲大会では5人抜きして鉛筆を5本貰った。あとで知ったのだが、相手は固く締めた絹帯に指がかからず戸惑ったせいらしい。
この自作画は、「西日本文化」501号に「大刀洗飛行場跡地の開拓民」(上下2回)に掲載されている。この“雄姿”を生成AIにジブリ風に描くよう指示したら、「安全ポリシーによりブロックする」との理由で画像生成を拒否された。締め込み姿は子どもが裸同然だからアウトだという。
「相撲は日本の伝統文化で神さまに奉納する時も大人も子どもも締め込み姿である。日本の常識であり拒否される謂われはない」と反論したが、「例えばTシャツと短パン姿で取り組む小学生なら、安全な表現として調整可能」との回答。これでは事実に反するので、AIとのバトルをやめた。
博多祇園山笠の舁き山は水法被に締め込み姿が粋だが、1950年、ハワイを初めて博多祇園山笠が訪問した際、締め込み姿が物議を醸したことがあるそうだ。
ほかにも、開拓地に入植するまでの待機期間に集団生活した旧兵舎、飛行場跡、野外での炊事風景などが「センシティブ(取り扱い注意)」だとAIは主張する。これらはシステム側が「軍事・紛争関連の描写」と判定した可能性が高い。まさに私の幼児期から少年期は、敗戦後の世界が色濃く残っていたから、これではAIを当てにすることはできない。
私が主に使っている生成AIはMicrosoftのCopilotで、危険・暴力・自傷・性的表現は一切不可など倫理基準が厳しい。また、ChatGTPなど主な生成AIも、絵画だけでなく文章表現も「暴力・自傷行為の描写、差別・ヘイト、違法行為の助長、性的コンテンツ、危険行為の具体的な方法、戦争など」を共通して禁止している。
大刀洗飛行場跡の開墾地の西端には、南北朝時代の南朝方の名将、肥後菊池武光の銅像がある。
1359年、大保原の戦い(福岡県小郡市)で北朝方の大軍を迎え撃ち、圧倒的不利な状況から大逆転勝利を収めた。その戦いの主役、菊池武光は血刀を川で洗ったといわれ、それが「大刀洗」の地名になった。銅像は右手に血刀を持っており、この雄姿も生成AIでは描いてくれそうにない。
厳しい倫理規定はあって当然だが、生成AIは日本文化や伝統をもっと深く学習して欲しいものだ。(2月19日)
