投稿者:上原幸則
岸本隆三君の投稿文(6月21日)に触発されて投稿しました。私も月の授業料が千円の時代の国立大卒業生。鹿児島は明治維新で中央に出て立身出世した人が多く、地元に残っている者をあまり良くみない傾向が周囲にはあった。進学では「何とか中央に出て鹿児島脱出を」と試みたが、学力不足はいかんともしがたく、二期校の鹿児島大へ。昭和53年(1978)まで国立大は一期校と二期校に分かれており一期校に有力大が多かった。岸本君の母校・熊本大も一期校。
鹿大へは、高校の先生から言われた「大学は家から弁当を持って行けるのが一番よいところだ」という言葉を励みに通った。家庭教師を掛け持ちし、何しろ授業料が安いので、結構リッチに。マイカー通学だった。
卒業後は、高校教員を目指し指導の教授に相談すると「読売新聞に内定しているなら、そっちに進んだ方が良い。それが鹿児島県教育界のためにもなる?」と激励された。同期の女性は校長をへて宮崎県教育委員、男性は教育長になった者もいる。新聞社には東京大、早慶と中央に出て学んできた者も多かった。就職先が同じとなると「コスパ」的には住居費・食費のかからない地元大でよかった。
共通一次の導入で一期、二期の区別がなくなった昭和54年(1979)から数年後、教授に聴いてみると「昔が良かった。当時は一期校を落ちた受験生の多くが二期校を最後の砦と挑戦、合格レベルが高かった。一本化後は最初から地元大しかない」。大学生当時は、コンパ(飲み会)の張り紙を見ると修猷館、筑紫丘、明善、宮崎大宮、熊本といった高校名があった。
国立大学は平成16年(2004)の独立行政法人化で運営に工夫と効率を求められ、試練の時代。生き残りをかけ大学を超えた学部統合や、医学部や教育学部では地元枠、工学系の学部では女子枠を設ける案が検討されている。
世界トップレベルを目指す国際卓越研究大学に文科省は東北大学を挙げ、10月以降に正式認定すると発表した。今年度中に100億円の助成が開始される見込みという。大学をあげて研究の戦略的強化を目指す改革が認められた。卓越と聞くと、東京大かと思っていただけに東北大の頑張りが嬉しい。九州大も頑張ってほしい。
授業料引き上げを検討している東京大は21日、学生と意見交換会を開いた。年間53万5800円から64万2960円へ。29億円の増収を見込み、学習環境改善や経済的に困難な学生の支援が理由。NHKテレビでは学生から「授業料を免除する親の年収基準が不明瞭。学費は自分持ちなので10万円アップは痛い」の声が出ていた。
フランスの大学は年2万8000円の学籍登録料だけ、ドイツは州立全てが無償という。教育によって得られる利益は社会全体のものとして平成10年(1998)ユネスコの「21世紀にむけての高等教育世界宣言」では公的支援が不可欠とある。今の国立大授業料は月割りで4万4650円。家から弁当を持って通っても、かなりの負担。支援制度を充実させてから値上げを検討すべきではないか。(6月25日)