投稿者:古賀 晄
給食がない夏休みは昼食にこと欠く子どもが少なくない。
厚生労働省が2023年7月に発表した国民生活基礎調査によると、18歳未満の子どもの相対的貧困率は11.5%と、9人に1人の子どもが貧困状態にある。さらに、ひとり親世帯に絞ると44.5%と約半数が貧困にあえいでいる。父子家庭より所得が低い母子家庭の方が深刻で、1日2食以下、親が1日1食に減らしたり、ご飯に水を足してかさまししたりしてしのぐケースもあるという。そういった家庭の子どもにとって給食は有り難い存在だが、夏休みはその機会が奪われることになる。
食事を満足に摂れない家庭の子どもたち、特にひとり親家庭の支えになっているのが全国に9296か所の「子ども食堂」だ。しかし、作りたての食事を提供しているのは毎月1~2回。福岡市の子ども食堂は「夏休みは深刻。自宅で昼ご飯を食べられない子どもが多いので、即席めんなど保存食をできるだけたくさん持ち帰らせている」そうだ。全国の子ども食堂でも同様の傾向だ。だが、コメは昨年より3割ほど値上がりしているのに加えて、食料は長期保存ができないため、「定期的な補給が途絶えると在庫がなくなるのでは」という不安が広がっている。
農林水産省によると、フードバンクは食品会社や農協、コンビニ、スーパーから寄付された食品を子ども食堂に無償で供給しているが、そのフードバンク団体の6割は食料の寄付が減少し食料支援が危機的な状況に陥っている。共同通信社の困窮者への支援状況調査(2024年7月)では、年間約3000件の食料支援をしているフードバンク仙台は、コメの在庫が残り1か月分を割り込んだという例や「(子ども食堂などに渡す)食料の量を減らさざるを得ない」など支援継続が脅かされている。一方、子ども食堂利用者の困窮状況でも、「1日1食で過ごしている」「3日以上食べていない」「(料金滞納で)電気、ガス、水道が止まっている」など深刻な状況が浮かび上がっている。
こうした現状は今に始まったわけではなく、公益財団法人日本フードバンク連盟と一般社団法人全国フードバンク推進協議会は2022年9月に「食べることにこと欠く人々が200万人存在する現状を踏まえフードバンクを通じた国民への積極的な食料支援を」との共同声明を発表している。しかし、今もって危機的状況は改善されていない。
シングルマザー世帯は過半数が貧困に直面しているという内閣府の調査結果もある。小学生の姉妹2人を持つ福岡市のシングルマザー(40代)は、早朝はスーパーの品出し、昼間は事務のパートを掛け持ちしているが、年収は正味300万円程度だそうだ。「子どもを学習塾にやる余裕はありません。夏休みも海水浴くらい連れていきたいけれどねえ、仕事を休めば収入が減る。月1回、子ども食堂で揃って食事をするのが唯一の家族団らんです」という。
日本財団は子どもの貧困を放置した場合、1年間の経済的損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加すると推計している。
「日本は豊かな先進国」というのは、もはや幻想に過ぎない。(8月19日)