投稿者: 上原 幸則

 「令和の百姓一揆」が展開されると聞いて、小農とはいえ米作りをしている者として「天下の一大事!一揆だから竹槍は要るのだろうか」と言っていると、妻から「まずは行動よ」と言われて3月29日、「令和の百姓一揆に連帯する南筑後行動」の開催地、筑後市へ走った。
 一揆は山形県の農家・菅野芳秀さんが高齢化で離農が進み「食の危機」が迫るのを前に農産物の持続的生産には「所得保障」が必要と訴え昨年始まった。
 同市中央公民館で講演会があり、農業者や議員、学者、主婦ら約40人が集まった。「決め手は予知能力~ 今こそ動こう。子どもらを農亡き国の食無き民にせぬために」の演題で、元西日本新聞記者で「食卓の向こう側」を担当した佐藤弘さんが登壇。師と仰ぐ農民作家の山下惣一さん(1936-2022)の生前のビデオや佐藤さんの著書「振りかえれば未来~山下惣一聞き書き」を基に話が進んだ。
 山下さんは、オレンジ輸入自由化や米の減反政策と迷走した農政に対し、「農の原理は循環、地に着いた農業、消費者に近いところで小規模でも営める農業」を提唱した。「10年後が信じられなければ、ミカンもリンゴも植えられないし、この秋がないなら田植えすらやれません。……だから明日を信じ、木を植える」という言葉が象徴的だった。
 財務省が1月29日に公表した2025年分の貿易統計では、外国産米の輸入量が9万6834トンで前年の95倍。「令和の米騒動」で高関税を払っても国産米より安くつくことから民間輸入が高い水準になったとみられる。
 コメは輸入できても田んぼは輸入出来ない。25年農林業センサスによると、大規模農家の面積は51%、残りは中小規模で中山間地、棚田も多い。条件は悪くても農家は水を引き田んぼを潤し、カエルなど生物が生きる生態系の維持にも貢献している。この地域が荒れてくると自然景観が失われ、害獣も出やすくなる。市場価格では、国産米より安い輸入米が有利だろうが、経済優先だけでは、地域の自然は守れない。講演で、スイスでは景観と生物多様性を守るため、農家への直接支払い制度があると聴いた。所得保障は必要だろう。
 ホルムズ海峡封鎖による「油断」は気になるが、食料自給率38%のなか、食卓に並ぶ食物があり続けるかも気がかり。国民に食料が行き渡る食料安全保障は必要だ。自衛策として近くの78歳女性は、10キロほど離れた空き地を借りてバスで通い、野菜作りを始めイチゴ、スイカまで作っている。会社の後輩はベランダで木箱に大豆を入れて水を与えた。モヤシに成長すると「愛おしくなり食べづらくなった」。宗像市では農と連携した住宅地造成が計画されている。餓える前に植えることが大事か。
 また、農林業センサスによると、自営農業者は102万1000人、5年で34万2000人の減。このまま減り続けると担い手がいなくなる。農業の危機、消費者にとっても人ごとではない。一揆の参加者として、竹槍の代わりにペンをとった。間もなく田起し(たおこし)だ。(4月6日)