投稿者:長 秀俊
NHKクローズアップ現代「放送100年スペシャル テレビが伝えた“あの日”」を見た。あさま山荘事件の現場中継が新聞にはないテレビの有効性を世間に知らしめたきっかけだったという。それはそうだが、テレビの将来はあるのか。以下のような理由が、テレビよりもネットやSNSが普及した背景にあり、テレビに代わってネットやSNSが情報やエンターテイメントの主要なプラットフォームとして広く利用されていることに、どう対処するのだろう。
①双方向性のコミュニケーション:従来のテレビは一方通行の情報提供が中心だが、ネットやSNSではユーザー同士や発信者との直接のやり取りが可能。
②オンデマンド性とパーソナライズ:好きな時に好きな内容を視聴でき、ユーザーの興味や行動に合わせた情報が自動的に表示されるため、利用者にとって使いやすい環境が整っている。
③モバイル端末の普及:スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及により、いつでもどこでもアクセスできる利便性が大きく影響した。
④低コストの情報発信と参加:SNSでは誰でも簡単に情報発信が可能で、従来のテレビのような大規模な制作費や放送設備が必要ないため、多様なコンテンツが生み出されやすい。
⑤リアルタイムな情報共有:ニュースやイベント、個人の日常等が即時に共有され、迅速な対応や議論が行われる点も魅力。
⑥多様なコンテンツ形式:テキスト、画像、動画、ライブ配信など、さまざまな形式で情報が提供されるため、ユーザーの好みや立場に合わせた楽しみ方ができる。
クロ現の中で、あさま山荘事件人質女性の解放直後のコメント(「うどんが食べたい」)が、事件で警察官死亡する中誹謗中傷の嵐となり以後一切マスコミ拒否となった経緯の紹介もあった。なんだ、今も昔も変わらないではないか。ならば、100年を懐かしむより、テレビの可能性を真剣に議論すべきであろう。(i)コンテンツの多様化と品質向上、(ii)視聴体験の能動化、(iii)情報の信頼性/権威づけ、(iv)ネットとの融合、とか、ざっと見ていろいろ挙げられるが、どのような将来が視野にあるのかNHKは提示すべきである。(3月26日)